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99
件
(
2025-02-20
11:23 集計
)
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ファイル
フォーマット
サイズ
閲覧回数
説明
YK177-2023
pdf
664 KB
35
要旨(abstract)
DK177-2023
pdf
14.5 MB
1
本文(dissertation)
論文情報
タイトル
中国・内モンゴルにおける乳製品の消費動向分析 : シリンゴル盟チャハル地域正藍旗の事例を中心として
タイトル(別表記)
チュウゴク・ウチモンゴル ニオケル ニュウセイヒン ノ ショウヒ ドウコウ ブンセキ : シリンゴルメイ チャハル チイキ セイランキ ノ ジレイ オ チュウシン トシテ
An analysis of the consumption trend of dairy products in Inner Mongolia, China : A case study of Shilingol league chahar region's Shoronfu
著者名
著者/ヨミ/別表記
HURIWA
ホロワ
主題
内モンゴル
正藍旗
乳製品の種類
乳製品の加工技術
乳製品安全問題
抄録・概要
本論文では、中国の乳製品の主な産地となっている内モンゴル自治区シリンゴル正藍旗を事例として、乳製品の消費構造の変化を消費者の民族、年齢、性別、職業などの属性を乳製品の購入、利用と消費者の安全認識などから調査分析の関係を中心に検討を行い、その際乳製品の安全問題や自身の健康に関する意識や感覚についても考察し、乳製品の生産加工と販売に存在する問題点を明らかにした。 中国での乳製品の利用は、かつては伝統的に消費習慣を持つ牧畜地域の少数民族や老人、病人、障害者および妊婦など栄養剤として利用する人々に限られていた。しかし現在では、乳製品はこれまでに消費習慣がなかった人々にもカルシウムやビタミンなどの栄養源として受け入れられ、乳製品の消費需要が急増している。それとともに、乳製品産業も飛躍的に発展している。内モンゴルでは乳製品は日常生活に不可欠な食物であり、乳業は牧畜を営んでいるモンゴル民族にとって経済的な面でも重要な産業となっている。 近年、内モンゴルの経済成長と発展に従って、人々の生活水準は上昇している。生活水準の上昇や価値観の転換などにより、人々は徐々に健康に良い食品を選ぶようになっている。乳製品は健康に良い食品と見られ、その消費量は徐々に増加している。しかし、世界各国で乳製品に関する安全をめぐる問題が起こっており、内モンゴル地域でも同様である。内モンゴルや中国の他の地域で乳製品に関する安全をめぐる問題が起こるたびに、消費者はどの乳製品選んだらよいかが全く分からなくなる。乳製品の安全問題が消費者に影響を与える一方で、乳製品企業の信頼度が低下し、企業の経営にも影響を与えている。 以上のような見解を踏まえ、中国内モンゴルにおける乳製品に関する先行研究を始め、モンゴル民族の乳製品加工技術や種類について説明し、中国と内モンゴルの乳業発展状況や消費状況について論じた。また、調査地域である、内モンゴル自治区シリンゴル盟正藍旗を対象にアンケート調査を行い、乳製品の購入頻度、購入量、購入場所、利用頻度、利用増減について調査分析を行った。さらに、アンケート調査に基づいて乳製品に関する安全、認識、感覚、価格に関する消費者の認識を検討した。本論文の構成は次のとおりである。 序章では、本論文の研究背景、研究目的及び研究方法そして論文構成の概要を説明した。 第一章では、中国内モンゴルにおける乳製品に関する先行研究について、文献の検討を行い、先行研究から今後の課題と研究の方向性について論じてきた。内モンゴルの先行研究の傾向を概観し、安全問題(メラミン事件のインパクト)、酪農政策と乳製品の生産、流通、生態移民と酪農活動、乳加工の技術と方向、乳製品の消費調査の5つに分類し、最後に、先行研究全体の到達点と課題をまとめた。 第二章では、モンゴル民族の乳製品加工技術や種について説明し、乳製品の市場拡大に伴い、伝統的製造方法から現代的製造方法への変化を述べた。また、データや先行研究を用い、中国と内モンゴルの乳業発展状況と乳製品の消費状況について論じた。最後に、今回の調査地域である。 第三章では、調査対象地である内モンゴルのシリンゴル盟正藍旗で行ったアンケート調査をまとめ、乳製品の製造販売業者について詳しく観察し結果を分析した。乳製品専門店と乳製品工場からの聞き取り調査では、正藍旗にある乳製品工場二つと乳製品専門店10軒を対象に20の質問について聞き取り調査を行った。まず、乳製品工場正藍旗長虹乳製品工場と正藍旗蒙元都乳製品工場に聞き取り調査を行った。次に、乳製品専門店10軒の製造販売店から聞き取り調査を行った。最後に、乳製品工場と乳製品専門店を比較した。全体として、大きく四つのことが明らかになった。第一に、乳製品工場は現代的乳製品を主に製造販売をしている。しかし、乳製品専門店では、伝統的乳製品を主に製造販売している。第二に、乳製品工場では主に機械で製造している。しかし、乳製品専門店では、家庭で伝統的製造方法によって製造している。第三に、今回の乳製品工場と乳製品製造販売店の聞き取り調査からは、近年、乳製品の消費者がモンゴル民族の消費者だけではなく、漢民族の消費者も大幅に増加している傾向があることがわかった。第四に、今回の乳製品製造販売業者の最も重要な問題点は牛乳の不足であることがわかった。 第四章では、乳製品の購入頻度、購入量、購入場所を主に民族、年齢、性別、職業別に分析した。まず、購入頻度では、毎日購入する消費者が多い。モンゴル民族の女性消費者が男性消費より高いが、漢民族では、男性消費者の方が高い。次に、購入量では、1回あたり0.5kg-2.5kgまで購入する消費者が半分を占めている。一回あたりの購入量が普通量(0.5kg-2.5kg)まで購入するのは、モンゴル民族の消費者が多いが、一回あたりの購入量が10kg以上購入するのは、漢民族の方が多い。漢民族は乳製品をまとめ買いする傾向がある。最後に、購入場所では、乳製品専門店と酪農家から購入する消費者が一番多い。しかし、スーパーマーケットや商店から購入する漢民族の数が多い。全体として、もともと乳製品を食べる習慣がなかった漢民族がモンゴル民族の影響を受け乳製品購入が徐々に増えていることがわかった。 第五章では、乳製品の利用頻度、利用増減と牛乳・ヨーグルトの利用頻度、ヨーグルトの利用増減について主に民族、年齢、性別、職業から分析した。乳製品の利用頻度では、乳製品を日常生活に食用にするモンゴル民族の利用頻度が高いが、乳製品は漢民族にとっても日常生活の食品になっていることが明らかになった。調査地では、乳製品専門店を営んでいる漢民族も多くなってきた。乳製品の利用増減では、乳製品を食用する若者が徐々に増えている。また、近年では乳製品の利用頻度が非常に高くなっているし、乳製品を食用にする漢民族が大幅に増えてきた。牛乳とヨーグルトの利用も大幅に増えている。 第六章では、アンケート調査に基づいて乳製品に関する安全、認識、感覚、価格に関する消費者の認識を検討した。乳製品の値上げ、安全問題および乳製品の安全性評価について、民族、性別、年齢や職業などの属性から分析した。乳製品の安全問題については、漢民族はモンゴル民族より強い意識を持っている。メラミン事件に関する記憶でも、漢民族はメラミン事件に関してよく記憶している。一方、モンゴル民族ではメラミン事件を記憶している消費者は非常に少なく、全く知らないと回答した人も多かった。乳製品の値上げに関しては、中国全体の乳製品の需要拡大の中で、価格上昇が常態化しつつある。しかし、消費者の多くは、これを容認する傾向にあった。 終章では、中国の乳製品の主な産地となっている内モンゴル自治区シリンゴル正藍旗を事例として、乳製品の消費構造の変化を消費者の民族、年齢、性別、職業などの属性と乳製品の購入、利用との関わりを分析の中心に据え、検討を行った。その際に、乳製品の安全問題や自身の健康に関する意識や感覚についても考察し、乳製品の生産加工と販売に存在する問題点を明らかにした。内モンゴルの乳製品消費の変化に焦点を当て、モンゴル民族と漢民族の乳製品に関する食生活動向および酪農乳業の安全問題に対する意識を明らかにした。モンゴル族は従来遊牧生活をしてきた。モンゴル食生活のなかで、乳製品は非常に重要な食物として利用され、現在も継承している。しかし、近代化とグローバル化の進展によりモンゴル族の食生活は急激に変化している。同様に、漢民族は従来乳製品を食さなかったが、乳製品消費の急増につれ、食生活にも変化が生じつつある。 今後の課題として、乳製品の安全問題や自身の健康に関する意識や感覚についても考察し、乳製品の生産加工と販売に存在する問題点を明らかにした。今回の調査を通じて、筆者は乳製品の安全問題とシリンゴル盟察哈爾省地域の乳製品の歴史的な発展、現状と変化の二つの点に関心をもつうになった。乳製品の安全問題については、乳製品市場の拡大に伴い、乳製品に対する安全安心志向志向はますます高まっている。消費者が安全な商品を購入するのは当然である。しかし、消費者だけに責任を押しつけるのではなく、国や地方政府もその役割を果たさなければならない、現在、乳製品の安全性は、必ずしも担保されていない中国衛生省および各段階の地方政府は乳製品製造販売業者に商品の成分表示を義務付けるといった法的措置を伴う行政指導を徹底し、悪質業者を駆逐して、消費者の乳製品への信頼を取り戻すことが望まれる。 シリンゴル盟察哈爾省地域の乳製品の歴史的な発展、現状と変化では、モンゴル民族の乳製品の歴史は非常に古いことに注目したい。現在、モンゴルの伝統的乳製品はモンゴル民族に人気で、酪農家や乳製品専門店の方が多く販売している。しかし、商店やスーパーマーケットではほとんど販売していない。乳製品文化を守るという狭い考えだけでは、社会からどんどん遅れて行くだろう。社会の変化に応じて行動しながら、冷静に対応することが最も重要である。賞味期限の問題や味の調整をすることによって、どこでも購入できて、誰でも食べられるような食品にすることによって、内モンゴル自治区内だけではなく、自治区外の市場開拓することが非常に重要である。 筆者は、以上の食品の安全問題や内モンゴルの乳製品のさらなる市場化や多様な市場開拓について関心を持っている。乳製品の国内、国外の歴史を研究し、伝統的技術を継承しながら、海外市場の開拓についても検討してみたい。また、調査地である内モンゴル自治区シリンゴル盟チャハル地域の乳製品の歴史から現在までの発展、現状と変化について詳しく研究を深めたい。
言語
日本語
学位授与番号
32636甲第177号
学位名
博士(アジア地域研究)
学位授与年月日
2023-03-23
資料種別(NII)
学位論文
コンテンツの種類
博士論文(本文)
著者版フラグ
ETD
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