輸入競争と失業変動

貿易による産業構造の変化と均衡失業率の変動に関する研究は、近年めざましい発展を遂げた。しかし、これらの研究は分析対象を貿易財部門に限定するものがほとんどで、非貿易財部門の役割については分析が進んでいない。本稿は、標準的な2財（輸出・輸入財）×2要素（労働、資本）からなる貿易モデルに非貿易財と土地（非貿易財部門の特殊要素）を追加し、労働集約的輸入産業における輸入圧力増大がもたらす諸効果を分析する。主要な分析結果は以下の通りである。輸入圧力の増大は、非貿易財を含まない従来型モデルの場合と同様に雇用率の低下（均衡失業率の上昇）をもたらす。また、この際生じる産業間の雇用変動パターンは一様ではなく、貿易財部門の雇用喪失を非貿易財部門の雇用増加が埋め合わせるケースがある一方、貿易財部門と非貿易財部門の両方で雇用が減少するケースもある。後者のケースでは非貿易財部門の相対価格が下落し、外国に比して国内物価水準が低迷する。

経済論集

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2013-12-21

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紀要論文

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