境界線上の文学 : プロレタリア小説とその周辺

キョウカイセンジョウ ノ ブンガク : プロレタリア ショウセツ ト ソノ シュウヘン

Literatur on the boderline : In and around the proletarian novels

本論は、プロレタリア文学が政治性を優先させることで見失ってしまった「弱者へのまなざし」「多様性の容認」を求めて、プロレタリア小説やその周辺領域の文学作品を読もうとする試みである。序章ではまず、プロレタリア文学の研究史を踏まえて「境界線上の文学」を論じる意義をのべ、方法論を示し、本論で検討される各作品の分析見通しを概説する。本論では1章ごとに一作品、全八作品を取り上げ、各作品毎に文学的価値及び文学史的位置づけを行った。要するに、これらを論じることで各作品が先述した「弱者へのまなざし」「多様性の容認」等、視点ないし問題意識を掘り起こし、スタンダードなプロレタリア小説に対する批評性を持つことを明らかにしたわけである。終章では、再度具体的にスタンダードなプロレタリア小説に即して、先の視点・問題意識が見失われていく経緯をなぞり、本論で言う「境界線上の文学」に示されたテーマが、各論考を通して明らかにされたことを確認した。

日本語

32636甲第155号

博士(日本文学)

2019-03-20

学位論文

博士論文(本文)

ETD